今回は「お金」について少し理解を深めてみましょう。
商学部や経済学部を卒業した人や、経理や数字に関わる仕事をしている方であれば当然理解しているハズの「複利」や「割引現在価値(将来キャッシュ・フロー)」の考え方。
ファイナンス分野の勉強をしたことのある公認会計士の受験生や、ファイナンシャル・プランナーの方でも当然知っている知識です。
家のローンをするときに銀行からお金を借りたり、利子付きで奨学金を借りたり、なんで毎月利息を払わないといけないの?という事について疑問を解決できる機会になればと思います。
特に、まだ高校生であったり、大学でも経済とは全く無縁の方も多いと思いますので、この「将来キャッシュ・フロー」や「複利効果」を少し意識することでお金に対する見方が変わるかもしれません。
お金持ちの人がなぜ投資をするのか?
お金が余ってるから?という程度にしか思わない人も多いと思います。
確かに余裕資金はあると思いますが、それ以上に、「お金の現在価値や将来価値を意識しているからこそ投資をする」とも言えるのです。
このあたりを事例を使って解説していきましょう。
これだけは覚えておこう。お金の勉強(基本編)
①今持ってる1万円は、5年後いくらの価値?(複利効果)
(問い)
あなたが今財布の中に1万円持っているとします。
その1万円、5年後にはいくらの価値になるのでしょうか。
え?1万円でしょ。。って思った方はここで勉強しましょう。
ちなみに、ここでは「複利効果」を理解するため、インフレなどは考慮しないこととします。
インフレを考えるともう少し複雑に考えないといけませんからね。
お金の価値を考える場合、そのお金を5年間運用したらどうなるのか?というのを考える必要があります。
基本的には銀行もこの考え方を使って預金の利息や貸付の利息を考えています。
もし、今持っている10,000円を毎年1%で運用できたとしたら、5年後には10,510円の価値になっています。
なので、5年後には510円増えているわけです。
これはどうやって計算しているかと言うと、
10,000円×1.01の5乗 ですね。
年1%で運用するのって結構現実的で、比較的低リスクの部類に入ると思います。
これがいわゆる「複利効果」。
では、もしそのまま年利1%で10年運用したらどうなるのでしょう?
こうなります。
今 | ¥10,000 |
1年後 | ¥10,100 |
2年後 | ¥10,201 |
3年後 | ¥10,303 |
4年後 | ¥10,406 |
5年後 | ¥10,510 |
6年後 | ¥10,615 |
7年後 | ¥10,721 |
8年後 | ¥10,829 |
9年後 | ¥10,937 |
10年後 | ¥11,046 |
そう、10年で1,046円増えるんです。
たったそれだけ…?って思うかもしれませんが、
この金額がもっと大きくなるとこの「複利」の威力がわかると思います。
もし手元に運用できる資金が5,000万円あったとしましょう。
さきほどと同じ条件(年利1%、10年)で運用するとこうなります。
今 | ¥50,000,000 |
1年後 | ¥50,500,000 |
2年後 | ¥51,005,000 |
3年後 | ¥51,515,050 |
4年後 | ¥52,030,201 |
5年後 | ¥52,550,503 |
6年後 | ¥53,076,008 |
7年後 | ¥53,606,768 |
8年後 | ¥54,142,835 |
9年後 | ¥54,684,264 |
10年後 | ¥55,231,106 |
10年で500万円増える計算です。
年利1%でですよ。
年利5%で運用できると、もっと金額が増えます。
年利5%って結構現実的な数字だと思います。
株式投資で結果を出している人なんて年利20%ぐらいの成績を出し続けている人がゴロゴロいますからね。
今 | ¥50,000,000 |
1年後 | ¥52,500,000 |
2年後 | ¥55,125,000 |
3年後 | ¥57,881,250 |
4年後 | ¥60,775,313 |
5年後 | ¥63,814,078 |
6年後 | ¥67,004,782 |
7年後 | ¥70,355,021 |
8年後 | ¥73,872,772 |
9年後 | ¥77,566,411 |
10年後 | ¥81,444,731 |
10年で3,000万円以上増えるんです。「追加投資なしに」ですよ。
もちろん、うまくいく確証はないですが、ある程度リスクをとることでこの程度お金を増やすことが可能になります。
これが「複利効果」の凄いところです。
投資してみたいけど、そんな知識がないからなぁ〜って人も、最近はAIが自動で投資してくれて自分は特に何もしなくてもOKな投資も出てきています。
「WealthNavi」で資産運用 している人なんかは、自動投資で年利10%とかコンスタントに出している人もいるようですね。
かの有名なイケダハヤトさんもWealthNaviを推していましたが、あの方ぐらい資金力があれば複利効果の破壊力を実感しているのでしょう。
WealthNavi で上記のシュミレーションのように、5,000万円の手元資金を追加投資ゼロで自動運用した場合はAIで自動投資してくれて、70%の確率で6,200万円以上になるというシュミレーション結果も出ています。
さらに30年運用すれば、82%の確率で1億円に到達します。
投資の威力、凄まじいですね。。。
②10年後の100万円は、今いくらの価値?(現在価値)
では反対に10年後の100万円は今の価値でいうといくらになるのでしょうか?
これが「現在価値」という考え方です。
理屈は①と同じで、①の複利効果と逆の考え方です。
つまり、複利効果は「今の1万円は将来いくら?」と考えるのに対し、現在価値は「将来の100万円は今いくらの価値?」というのを計算します。
では事例を使って考えてみましょう。
年利1%で運用できることを前提にすると、10年後の100万円は今の価値で90万円程度ということになります。
もっというと、今90万円程度持っていれば、年1%で資産運用するだけで10年後には100万円になっている、とも言えます。
今 | ¥905,287 |
1年後 | ¥914,340 |
2年後 | ¥923,483 |
3年後 | ¥932,718 |
4年後 | ¥942,045 |
5年後 | ¥951,466 |
6年後 | ¥960,980 |
7年後 | ¥970,590 |
8年後 | ¥980,296 |
9年後 | ¥990,099 |
10年後 |
¥1,000,000 |
この計算方法は①の逆で100万円を割り戻すことで算定できます。
例えば、10年後の100万円は今の90万円程度というのは、
=100万円÷(1+0.01)^10(=10乗)で求めることができます。
100万円を「1+利率」で年数分割り戻すと考えるとわかりやすいかもしれません。
③毎年収入・支出があって、5年間収支の現在価値は?(将来キャッシュ・フローの現在価値)
次は、毎年幾らかの収入と支出がある場合を考えてみましょう。
考え方は①と②の応用です。
1年後に500万円の収入(=CIF)と200万円の支出(=COF)があった場合は、純収入は300万円ですよね。
そんな形で5年間、以下のようなキャッシュ・フローがあった場合の現在価値はいくらになるのでしょうか。
この知識はどう使えるのか?というと、
例えば「購入した建物に本当に価値があるのかどうか?」について、この計算をすることでシュミレーションすることができます。
同じように1%で資金を運用できると考えると、現在価値合計は以下のようになります。
5年後の収支の現在価値 | ¥951,466 |
4年後の収支の現在価値 | ¥2,882,941 |
3年後の収支の現在価値 | ¥2,911,770 |
2年後の収支の現在価値 | ¥2,940,888 |
1年後の収支の現在価値 | ¥2,970,297 |
現在価値合計 | ¥12,657,362 |
つまり、もし建物を購入して、賃貸収入(CIF)と諸経費(COF)の純収入がこの表のように現在価値合計でプラス(12,657,362円)なるのであれば、十分買う価値があるということです。
④まとめ(お金の勉強を続けよう)
お金の勉強はぜひ続けてみましょう。
知らなかったら損!な知識は意外と結構あります。
税金だって同じです。
節税できるのに、必要以上に税金を払っていることがあるかもしれません。
ふるさと納税や、確定拠出年金などは、多くの方が実践している典型的な節税策でしょう。
投資に関しても、今銀行に預けていて近い将来使う予定のないお金を、そのまま貯金で寝かしているけど、低リスクな運用をすることで堅実にお金を増やすことができるかもしれません。
お金の勉強は、少し自由な生活に近づけてくれる力になります。
学校ではなかなか教えてくれない「お金」の知識。
今一度考えてみませんか?
「お金の教養講座」に参加してみるのも良いかもしれませんね。無料で学べますし。
お金の知識は自分から取りに行かないと、なかなか教えてくれないものです。
自分から能動的に動いて、もっと自由になれるように知識をつけておきましょう。
今回のポイントは以下の点。
- お金は現在価値、将来価値を考える
- 寝かしておいて損な場合もある
最後に、関連記事の紹介です。
<少額から投資について学んでみたい方向け>
<WealthNaviについてもう少し知りたい人向け>
ではまた。