経営者なのに、従業員から突っ込まれる。
— 公認会計士わんころくん@雑記ブロガー (@wankorokun_0707) 2018年9月8日
経営者なのに、刺激的な言葉でリーダーシップを発揮せず静かに意見を聞く。
経営者なのに、自分は間違ってるかもと公言する。
これを見て、だらしないと思った人は気をつけた方がいい。
実は、こういう経営者じゃなければ、本当に大切な情報が入ってこない。
なぜ一見だらしない経営者の方が情報が入ってくるのか?
— 公認会計士わんころくん@雑記ブロガー (@wankorokun_0707) 2018年9月8日
それは「近寄りやすさ」にある。
近寄りがたい高圧的な態度の経営者には、本当の状況はなかなか入ってこない。
それが美化されて、伝えられるレベルの情報に曲がるから。
その原因は、怒られるから。
もし高圧的な態度の経営者がいた場合、
— 公認会計士わんころくん@雑記ブロガー (@wankorokun_0707) 2018年9月8日
一番入ってこない情報は
知らないということをわかっていない情報。
未知の未知。
つまり、経営上の長期ビジョンを立てる上で不可欠な情報。
数年前まで、「経営者は嫌われてなんぼ」という考え方が当たり前の風潮でした。
今もそうかもしれませんが。
経営者は好かれるように立ち回っていれば組織がダメになる、という人もいますが確かにそれは一理あります。
必要なことは言わないといけないし、重要な意思決定を周りに流されているようでは組織の存続に関わります。
でも、「嫌われること」と「近寄り難い空気を出すこと」は全く別。
俺は経営者なんだ、とか、俺は役員なんだ、いうプライドはあっていいと思いますが、それを高圧的な態度で表現して周りを寄せ付けない雰囲気を出すのは果たして正解なのでしょうか?
いますよね〜、こういう人。僕も何人か頭をよぎりました。笑
おそらく、今の時代、それは流行りません。
なぜかというと、経営を取り巻く環境変化のスピードが速すぎるから。
環境変化に柔軟に対応して、先見の目をもって経営するには、もちろんトップ層の情報や業界情報を吸い上げることは大切なことです。
でもほかにも大切なことがあります。
それは、「自社の現場の本当の声を知ること」。
僕も経験があります。
ある上場会社の創業会長から、こんなことを言ってこられる機会がありました。
「うちの会社いい会社でしょう。管理もしっかりして真面目な社員が多い。」
その会長は半分引退しているので仕方ない面もありますが、
実際はその会社の管理体制(特に決算管理)がお世辞にも良い状態とはいえませんでした。
僕はそのとき、こう感じてしまった。
「あ〜、会長には美化された情報しか入ってきていないんだな。組織の現場で本当に起こっていることが耳に入ってこない風土なんだろうな。」と。。
これは完全に僕の私見ですが、確かに真面目で人柄の良い社員が多い会社でした。
でも、管理体制がしっかりできていないため、決算の監査をすると修正箇所がたくさんでてくる会社でした。。。
業績も安定せず、管理部門の人は結構不満を言っている組織でした。
でも実際トップマネジメントに届く情報は、決算の修正箇所を会計士や税理士から指摘されて修正した後の綺麗な数字。
残念ながらその実態がトップに伝わることはありません。
会社は現場から崩れていく、とよく聞きます。
不正事例が起こってニュースになっている会社だってそうです。
トップのプレッシャーがあって、数字を改ざんしてバレないように水増し。
それも従業員レベルでやってる不正の多くは、「結果を出さないと上司に怒られるし、結果がでないことを言いたくないから」です。
これこそ、過度なプレッシャーです。
でもそれって、実はプレッシャーをかけている本人はそんなつもりではないかもしれませんね。
いやいや、無理なんだったら言ってこいよ!と思っているかもしれません。
でもね、言いづらくしているのはあなたですよ!って口が裂けても部下は上司に言えないんですよね。
そんなことを言った途端、その組織で居場所がなくなる。
古き良き(?)文化が残っている会社に多い気がします。。
これに気づいている会社は危機感を感じて対策を日々練っているでしょう。
組織が真にイノベーションを起こすには、現場の声が必要です。
なぜなら、今自社で何が起こっていて、何がボトルネックになっているのかを一番把握しているのは現場で実際に作業している人間なのです。
それをうまく解消することで組織は成長するし、従業員満足度も向上します。
経営者が正しい判断を下すためには、この「不都合な真実」に気づく必要があります。
それを知った上で「あえて」接しやすい態度を振舞ったり、「あえて」自分の間違いや至らなさを素直に発信する経営者はすごいと思いますし、経営の本質が分かっていると思います。
でもやっぱり経営者って立場は孤独です。
いくら理想はそうだとしても、やっぱり部下は上司に悪い情報は言いづらいものです。
部長も社長には言いづらいもので、できるだけ自分達で解決したがるものです。
そこで大切になるのは会計士や税理士などの士業の役割です。
会社外部の人間が経営者の良き相談役となるのです。
実際に現場で起こっていることや、気をつけるべきことなど、社長に腹を割って話せる会計士・税理士は強いと思います。
やっぱり、会計士・税理士も顧問料などの報酬ももらっている立場や、社内の横のつながりの関係(事情)を把握しているからこそ言いづらいことがあるでしょう。
でも、あえて社長にありのままに報告して、社長もそれを真摯に受け止める。
そういった関係性が築けるのが理想の姿だと思います。
経営者はメッセージの発信も大切ですが、一方でメッセージの受信も大切です。
つまり、戦略的に洞察力をもって静かに聞く。
そんな力も養っていく必要があるでしょう。
社長自身が現場で起こっていることを税理士から知らされた途端、「それはけしからん!!」と顔を真っ赤にして怒っていては今後情報が入ってこなくなりますよ。
まぁ、時にはその厳しさが必要なんでしょうけど。
人間、許されると思ったら手を抜く人もいますからね。。
「経営者として最も素晴らしい素質」の1つについて、シルク・ドゥ・ソレイユのダニエル・ラマー社長は創業者のギー・ラリベルテに関してこう言っています。
会議で誰かが途方もないアイデアを口にすると、ほとんどの人がそこでブレーキをかけますが、ラリベルテは「もっと話しなさい」と促すのです。
いいですよ、続けてください。私にはちょっとピンとこないけど、もっと話してください。と言うのです。
※ハーバードビシネスレビュー2018年10月号より要約
聞き上手の人は、先入観をもたずに大切なことは何か?について上手く耳を傾けていると思います。
経営者は自身の置かれた立場もあり、ある種のジレンマを抱えている部分もあると思いますが、「弱み」をあえて見せることや、現場に耳を傾けることで情報が入ってきやすくなるでしょう。
そのために「意識的に」努力しないといけない時代がきているのではないでしょうか。