当ブログにおいては、度々公認会計士試験について触れていますが、
公認会計士試験においては税理士と違って特に必要な受験資格はありません。
なので、中卒や高卒であっても受験できますし、なんなら高校生でも受験できます。
さらには学部も問わないので、農業高校や保育系の学校などの簿記にあまり縁のない高校生でも受験できるのが特徴的です。
そんな試験だからか、公認会計士に色んなバックグラウンド(経歴)をもった方がいます。
僕の同期にも、体育系の学校出身の方もいれば、上司には元整備会社などで働かれていた方もいますし、主婦だった人が勉強をはじめて資格を取得した人もいます。
それぞれ受験する方によって理由は異なりますが、多様な人材がいることは間違いないです。
そんな中で今日のテーマ。
「中卒や高卒の公認会計士は仕事上不利なのか?」
これには賛否両論ありますが、少なくとも民間の営利企業であれば学歴によって就職活動での有利・不利が分かれますよね。
もちろん、大企業に就職したから偉いとか、大企業に就職したから幸せになれるか、というとそれはハッキリ言って別問題です。
が、ここではその問題はあえて取り上げません(話がそれてしまいそうなので)。
今回は、特に、公認会計士試験に合格したら多くの人が就職する「監査法人」において、どの程度学歴が必要なのかについて考えてみたいと思います。
公認会計士が集まる監査法人については、この記事を参考にしていただければと思います。
結論から言うと、入社さえすればそこまで学歴が注目されることはありませんし、学歴が低ければ出世できないか?といわれると全くそんなことはありません。
「入社すれば」と言いましたが、就職面接で履歴書を書く必要があるので、多少は学歴を見られるかもしれませんが、就活の合否に影響するのは学歴ではありません。
特に監査法人で重視されるのは「人柄」でしょう。
監査法人では本当に色んな方がいますが、実際のところは1人1人が公認会計士試験に合格した専門家である以上、学歴はそこまで重視されないのは考えてみても明らかです。
もっと言えば、今は会計士不足の売り手市場なので余計にですよね。
本当に勉強が苦手でどうしようもないって方は、試験の段階でふるい落とされていると思います。
また、学校の勉強ができなかったからといって、公認会計士試験に合格できないかと言われるとそうでもないです。
学校の勉強とは本気度が全く違う人も大勢いて、学校の勉強は頑張れなかったけど、資格勉強だったら必死に頑張れる方も中にはいるからです。
それに、公認会計士試験に合格している以上、最低限、業務に必要な知識はつけたとみなされるでしょう。
これが資格の持つ力です。
近年は資格に対してネガティブな印象を持つ人が増えてきましたが、実際資格をもって仕事している身からすると、そんな悪いことは感じませんけどね。
最近はスマホを持つ人も多くなって、通学・通勤時間でも資格の勉強ができる時代です。
公認会計士の資格はそういう意味においても、学歴に関係なく取得することでスキルアップできる資格であることは間違いありません。
では、本当に全く学歴が関係ないのか?と言われると、
民間企業に比べると圧倒的にその通りですが、少しそうでもない部分もあるのは事実です。
例えば、大手監査法人のパートナーになりたい場合は、今の時代は英語力が必須です。
なぜなら、パートナーまで昇格すると、グローバルの会議などにも参加する必要がでてきます。
つまり、他国のネットワークファームに所属する会計士と議論するためには英語力が必須になるのです。
集合研修も英語で行われる場合もあるぐらいです。
そういう意味においては、学歴は必要ないけど、ある程度の英語力をつける努力は必要です。
必須かどうか?と言われると、それは人によりますね。
この記事を読んでいただけるとわかると思いますが、「どこを目指すか?」で答えが変わるからです。
世間一般的には、学歴が高い人の方が、「相対的に」英語の勉強に学生時代から時間を費やしてきた結果、英語に対して拒絶反応が少ない。というイメージがあるでしょう。
そういう意味で、「学歴」は必要なのかもしれません。
また、僕が1度だけ経験したことですが、監査先のクライアント(お客さん)に、「先生はどこの大学出身ですか?」と聞かれたことがあります。
特にご年配の役付の方であれば、そこで高学歴であった方が印象が良いのは事実です。
これは、どうしようもないことですが、実際のところ学歴が高い人がいい仕事をするとは限らないんですけどね。
でも、世間では学歴の高い人にいい目をする人も未だにいます。
こればっかりは仕方がないことですので、この点が気になって仕方がない人には「学歴」は必要かもしれません。
ただ、その学歴が生きるのもはじめだけで、その後の信頼を獲得できるかどうかは仕事のパフォーマンスにかかっていることは言うまでもありません。
学歴が低くても、コミュニケーション能力に長けていて、結果としてすごくクライアント満足度を得ている公認会計士はたくさんいます。
時々、「私は高卒で大学も出ていないのですが、公認会計士になるのは無謀ですか?」という風な質問がありますが、この記事を見ていただければ「そんなことはない」ということが分かってもらえるのではないでしょうか。
公認会計士の仕事は、何か作った物を売る製造業のような仕事でありません。
極論、売っているのは自分という商品であり、サービス業に近い職業です。
なので、監査法人においても一番大切にしているのは「人材」です。
人材がいないとどれだけたくさんの情報量があっても、素晴らしいノウハウがあっても意味がありません。
それを使って専門サービスを売って、満足してもらえるかどうかは、個々の公認会計士にかかっているのですから。
この記事を読んで、学歴が低いことを理由に公認会計士を目指すことを諦めた方がいれば、「そんなことで悩まなくていいよ」ということが少しでも伝われば幸いです。
公認会計士になれれば、転職においても優遇されますし、キャリアチェンジにも有利に働きますしね。