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繰延資産の意味と、なぜ資産計上するのか?についてサクッと解説するよ。

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繰延資産とは?

 

会計士や簿記検定を目指してみようと思う方は、一度は目にすることになるでしょう。

繰延資産という貸借対照表に書かれている項目を。

 

貸借対照表(BS)の借方は、大きく「流動資産」「固定資産」「繰延資産」に区分されます。

 

この繰延資産って実は、資産性がないのに貸借対照表に計上されています。

ここが「流動資産」や「固定資産」と大きく違うところ。

 

この前受験生から質問があったので少し解説してみますね。

 

まず、繰延資産の定義から。

 

 

繰延資産とは、すでに対価の支払が完了しまたは支払義務が確定し、これに対する役務の提供を受けたにも関わらず、その効果が将来にわたって発現するものと期待されるため、その支出額を効果が及ぶ将来期間に費用として合理的に配分する目的で、経過的に貸借対照表に資産として計上された項目をいう。

(企業会計原則 注15)

 

 

そう、ポイントは「その効果が将来にわたって発現する」というのと、「経過的に」という部分。

繰延資産って、簡単に言うと、「もう既に支払ってる費用だけど、その支払いに対応する収益(簡単にイメージするなら売上)が将来の期間に発生するから、その期間に対応して費用も計上した方がいいんじゃね?」ってことです。

減価償却も同じですよね。

 

だから、資産計上はされているけど、損益計算の観点で資産計上しているただの経過勘定であって、全く資産性(換金性)はないんです。

 

固定資産とは全然違いますよね。

固定資産は資産性がなくなったら即減損ですから。

固定資産のこの手の考えは、BS面から資産を捉えています。

 

繰延資産が資産計上されるのは、BS面ではなく、PL面(損益計算書)の理屈です。

これを専門的には「費用収益対応の原則」って言います。

 

こういう部分は試験でも聞かれる論点です。

 

例えば、「どうして繰延資産は資産計上するのですか?」とか、

「繰延資産は資産計上すべきでない、という意見がありますが、その理由を説明しなさい」とかが典型例です。

 

資産性がないってことは、つまり「換金性」がないんです。

換金性のない資産をいっぱい計上したって、資産と負債の差額で出てくる「純資産」は中身空っぽですよ、、、ってことです。

それなら資産計上すべきでないでしょう、、ってことですね。

 

ちなみに、こんな繰延資産を当然無制限に計上するわけにはいきません。

日本では、繰延資産に計上できる項目は限定列挙されています。

 

①株式交付費

②社債発行費

③創立費

④開発費

⑤開業費 

 

つまり、これ以外は繰延資産として計上することは認められていません。

 

 どうですか。

結構深いでしょう?笑

 

まだまだ基本論点ですが、こういった根本的な考え方が会計は大切です。

この「根本的な考え方」がわかってくれば、会計基準に直接書いていなくても結構答えが導き出せたりします。

 

ぜひ、考えるクセをつけてみてくださいね。

 

 

こういう会計論点を考えてみたい方はこの記事もどうぞ。

www.wankorokun.com

 

 

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