非上場株式=時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券
非上場株式は、時価のない有価証券に分類されます。
会計基準の文言では、「時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券」といった表現を使います。
上場している会社が発行する株式(上場株式)であれば、株価という形で時価が反映されています。
会社の価値は株価に反映され、株価×発行済株式総数で、企業価値を算定します。
一方で、非上場株式は市場で出回っていません。
証券会社の口座を開いても、東証一部などの取引市場に上場していないので手軽に買うことはできません。
つまり、出回っていないので時価を把握するのが難しいのです。
これを会計基準では、難しい表現で「時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券」と呼んでいます。
もちろん、株式だけじゃなくて他の有価証券であっても時価が把握できないものは含まれます。
非上場株式の減損評価の考え方
では、非上場株式の減損はどのように考えるのでしょうか?
減損損失とは、会計基準(金融商品基準)では、以下のように規定されています。
時価を把握することが極めて困難と認められる株式については、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下したときは、相当の減額をなし、評価差額は当期の損失として処理しなければならない。
金融商品基準 第21項
また表現がかたいですね。
つまり、どういうことかというと、
株を買ったはいいけど、その会社の業績が悪化して将来的に投資の回収ができないのであれば、その株式は減損してくださいね、ということ。
会計に関わりの少ない人は、これでも、あーそういうことね。ってならないと思います。笑
非上場株式というのは、買った値段で貸借対照表に資産計上されています。
では、買った値段はどう決まっているのでしょうか?
方法はいくつかありますが、
一般的には、その会社の将来利益の計画などをみて投資したり、純資産の時価を把握して投資額を決めたりします。
つまり、買った時の値段で、会社の資産として把握されている株式について、
買った時の価値がないなら、資産の金額を落としてね。というのが減損損失です。
投資1年目で即減損はありえるか?
では、投資1年目で即減損は、ありえるのでしょうか?
この手の質問は、会計士にもよく来る相談事項です。
非上場株式の投資は、その会社の将来性を見越して買うのが一般的ですよね。
なのに、1年目から赤字だからって減損がいるのか?そんなことはたまったもんじゃない!というのが会社の一般的な理屈です。
これは、結論から言えば
投資1年目で即減損はありえます。
これも赤字だから必ず減損ではなくて、
当初見込んでいた投資回収の計画より大幅に悪化して回収が全然見込めないような状態であれば減損が必要となります。
でも、「当初から投資後3年後にやっと利益が出る計画で、そこまで赤字なのはわかった上で投資してるんです。」という場合においては、
その当初計画に沿った実績が上がっている限りにおいて、減損不要という判断も認められると考えています。
でも、落とし穴が1つあります。
それは、そもそも投資額が間違っていたんじゃないの?問題。
本当はそんな価値もないのに、高く買っちゃったパターンです。
完全に投資の意思決定にミスったパターンです。
その場合は、計画に沿っていたとしても、即減損は十分にありえます。
まぁ、そんなことする会社は珍しいかもしれませんが。。