大手監査法人を退職する不安
独立開業を目指して、毎年多くの公認会計士が大手監査法人を去ります。大手ならではの経験もあれば、現実的には独立の為の経験値という意味では、そうでもない部分もあることを示唆しています。
大手監査法人の光と闇
大手監査法人は、規模もさることながら世界規模で様々なプロジェクトを展開しています。
会計監査のみならず、アドバイザリー業務や海外支援を含め、B to Bのビジネスでは業界屈指の規模とレベルを誇ります。
ネームバリューも世界屈指であり、big4の名前を出すだけで世界中通用します。これはビジネスにとって非常にプラスに働きますし、人数が多い分、当然に各分野で優秀な人材が揃う確率も高くなります。
良い部分にスポットライトを当てると、大手ならではの利点があります。
- 高収入で安定している
- フレキシブルな働き方が(制度上は)認められている
- 分からないこともどこかに問い合わせれば大概解決する
- ネームバリューがあるからクライアントも話を聞いてくれる
- 休暇は比較的取れる
一方で、足元に目を向けると、次のキャリアに向けて退職していく人が毎年後を絶ちません。そういう業種なので人材の動きが多いのはある程度仕方ない部分もありますが。
大手であるがゆえに、クライアントも大手が中心となります。名の知れた一部上場企業を相手に何百億、何千億規模でのビジネスに関わりたい場合には刺激も多いのでしょうが、かたや個人で独立開業した公認会計士が目の前で直面する業務は中小企業〜個人事業を中心にビジネスを展開する税理士業務が中心。ここにギャップが存在します。
また、大手監査法人での経験は独立しても1人ではできないことが多々あります。ある程度の人数が揃って組織化しないと受注できないような業務が多いからです。特に、若手で5年程度のキャリアであれば、大手企業のビジネスの一部を監査する程度しか経験が積めない人も出てきます。
僕自身は、比較的小さめの規模のクライアントも担当させてもらったので(とはいっても数十億〜の規模ですが)、まだマシだと思います。が、新人の頃から何兆レベルのトップ企業をメインで監査していると、全体感がなかなか見えてきません。1人では見渡せる規模ではないので、数十人規模での監査が行われるのでその一部を担当するに過ぎないからです。
ここに大手で独立経験を積みたい人にパラドックスが生じます。
いざ飛び出すとなると不安も
とはいえ、さすがは大手なので安心感はバツグンです。なので、いざ独立に向けて飛びだそうとしても足がすくんでしまう人も多くいるのが現実です。収入が一時的に下がってしまうのに耐え得るのか?レベルの高い人たちと思ったような仕事ができるのか?自分で最終判断をすべて下せるような能力があるのか?など、考えは尽きません。
大手の中にいても異動やグループ間の出向によって違う分野の経験も積もうと思えば積める。それでもなお、退職するのは確かに不安ではあります。
しかし、大手の安定感を捨てることでよりチャレンジングに動き、見えてくる世界もあるように思います。多くの人はここに希望を見出しているのでしょう。
不安を感じるのは当たり前?
そんな僕も大手監査法人を辞めようとしている1人です。
理由は独立開業に向けたキャリアアップのため。ここは一貫しています。
とはいえ、やっぱり不安はあります。
大手のように収入が安定するかはわからないし、今よりもイノベーティブな仕事ができるかどうかはわからない。
でも出来るように頑張ろうと思う気持ちは、今の職場を辞めなければ生まれない感情なのかもしれません。
決断まではたくさん悩むけど、決めたらトコトン頑張る。それしかないように思いました。
自分の選んだ道だから、信じるのみ。間違ってたらまた素直に方向転換しようと思います。
皆さんも同じような不安を感じたことがありますか?
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