監査法人での上下関係
監査法人は会計士が集まって会計監査などを行なっている会計監査のプロフェッショナルファームですが、その監査法人では上下関係が気になる、という声を頂くことがあります。
たしかに僕自身も、受験生時代は様々な噂を聞いていたので(〇〇監査法人は体育会系だ、〇〇監査法人はゆるい、など)、不安にもなりました。
実際のところ、監査法人での上下関係はどうなのでしょうか?このあたりについて、監査法人の実務経験から感じた部分を書いてみたいと思います。
新人の頃は厳しい人も(人による)
監査法人に入所するには、まず公認会計士試験に合格する必要があります(プロフェッショナル職採用の場合)。
最近の公認会計士試験の合格者は若年齢化しており、大学生合格も増加している印象を受けます。そのため、新卒で監査法人に入所するということも昔に比べて珍しくなくなってきました。そうなると、はじめての社会人経験が監査法人という人が相対的に増加してきます。
ひと昔前は、前職経験のある人が、スキルアップのために資格を取って監査法人に転職される方も多かった印象ですが、最近は前に比べると減少傾向にあるようです(結果、受験生も減少しているようで)。
監査法人では、前職経験のある方には過度にとやかく干渉しない傾向があるように思います。それは、ある種の信頼があり、社会人としての基礎的なマナーは身につけていると思われているからで、知識レベルも公認会計士試験に合格しているため、そこまで心配していないことが起因しています。
一方で、監査法人が初社会人経験という方は、(上司によっては)指導的な意味合いで厳しく指導する方が一定数いることも事実です。最近はそういった方も減ってきたように思いますが。。(すぐパワハラ問題とか言われますからね)
ただ、個人的な感覚では、監査法人での上下関係は結構ゆるいと思います。笑
専門家として、
- クライアント(客先)に迷惑をかけない程度にコミュニケーションができる
- 自分で考えて答えを出そうと努力する
- うまく周りの協力が得られるような協調性がある
- 専門知識の習得・研鑽を怠らない
といった最低限のスキルがあるとみなされれば、案外温かい目で見てくれる人が多いのが監査法人の特徴です(上司も自分が同じ経験をしているので、そのあたりは理解があるようです)。
経験を積めばキャラクターとして見てもらえる?!
公認会計士が集まるプロフェッショナルファームである監査法人と聞けば、どこか超高度なスキルが必要とも思われるような印象を受けるかもしれません。
確かにその面はありますが、少なくとも新人の頃はそこまで求められていませんし、経験を積むことで習得していくことになります。
また、最近は「ダイバーシティ」が社会のキーワードになっているように、「多様性」を大切にすることが企業が永続的に発展していくための条件となってきています。つまり、時代が変わるにつれて、多様性が認め合えるような企業でないと、選ばれなくなってしまうということです。
この「多様性」を性格面(キャラクター)としてもうまく活かして監査法人で活躍する方もおられます。
経験を積むことで、知識と自信がついてくると、一見ガツガツしていないような会計士もそれが「その人の味」となり、良い意味でキャラクター化される場合もあります。
つまり、普段はあまり声を上げたりせず、控えめな性格であっても、クライアントの相談には親身に乗り的確なアドバイスを助言する。また、「ここぞ」という場面ではしっかり自分の意見を持って発信する。そういう方は重宝されています。
監査法人はチームで仕事をする特性上、専門家とはいえ、完全に「我が道をいく」タイプは馴染めていない傾向にもあります(圧倒的なリーダーシップと経験値があれば別ですが)。
個人的な感覚ですが、ある種の「多様性」が求められている中、いろんな考え方や性格の方が協力してプロジェクトを進めていくことが肝要であるため、個々の性格はそこまで影響せず(最低限は必要ですが)、知識と経験を重ねることである程度やっていけるようになっている、というのが印象です。
そう思うと、やっぱり「資格の力」が一定程度働いている(得している)ようにも思いますね。
民間企業との比較はできないが
民間企業との比較は一概にはできませんが、民間企業よりも監査法人の方が上下関係はゆるいように思っています。
その根底には、「それぞれがプロとして責任を持って、自分でやりきるべき」という風土があることで、過度に干渉しない文化ができているからだと感じています。
それを「ゆるい」といって良いのか、という議論もありますが。。笑
過度に干渉されないけど、自分で気付いて成長していく必要がある、と思うとある意味「厳しい」という意見も一理あります。
これが「心地よい」と感じる人もいれば「やりにくい」と感じる人もいるでしょう。
このあたりは性格にもよるかもしれませんが、おそらく「世間が思っているより」監査法人の上下関係は厳しくない、というのがリアルなところだと思います。
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