簿記や会計が大切ってよく聞くけど、「全くイメージができない」と感じたことはありますか?
簿記や会計を学ぶ時に、いきなり教科書的な説明をされても眠くなるだけですよね。
僕自身も、はじめて簿記を知った高校生の頃に「借方」「貸方」「貸借対照表」という用語を聞いてチンプンカンプンでした。
そんなチンプンカンプンだった僕でも、今ではおかげさまで公認会計士・税理士として仕事が出来ています。
身近な例(もしくはイメージしやすい例)で考えれば必ず概要をつかめますので、是非この機会に簡単な例で会計に触れてみてください。
今回は、「素人でもわかる!貸借対照表の見方と資産運用の基本」というテーマで図解を使ってサクッと解説していきます。
この基本を知っておくことで、ビジネス(経営)のみならず、自分自身の資産運用を考える上での基礎を固めることができます。
貸借対照表(BS)とは?
貸借対照表(Balance Sheet、略称:BS)とは、専門的な用語で説明すれば「財政状態を表す決算書」です。
貸借対照表(以下、BSと呼びます)と聞いた人にはピンとこないと思いますので、「会社(もしくは自分)の持っている財産と借金の一覧表」とでも考えてみてください。
BSは企業を前提に考えられている資料ですが、個人の財産を考える際にも置き換えて考えればOKです。
あなた自身のBSを考えてみると、どんな決算書ができるでしょうか?
貸借対照表(BS)はあなた自身の財布と財産、借金の中身です。
具体的な数字と図を使って解説していきます。
貸借対照表(BS)を見れば、真の財産(純資産)がわかる
商売の内容を知らない会社のBSを初心者が見ても、よくわからないかもしれません。
まずは、あなた自身のBSを考えてみましょう。
例えば、あなたは持っている全てのお金(自己資金)2,000万円と、銀行から借りたローン3,000万円を足した5,000万円で念願の不動産を購入したとします(簡単にするために単純化しています)。
まずは、BSのイメージをしてもらいましょう。さきほどの事例を図で表すと以下のようになります。
会計の世界では、BS左側を借方(かりかた)、右側を貸方(かしかた)と呼びます。
上のボックスを中心線から左右に分けて見ていきます。
借方は、資産を運用した結果として持っている財産を示します。
より噛み砕いて説明すると、お金そのものや、将来お金に変わるもの借方に「資産」として表現します。
右側の貸方は、借方の財産を得るためのお金をどのように調達したか?を示します。
つまり、お金を得るための手段です。お金を得るための手段は、誰かから借金をするか、自分で貯蓄するのが通常ですよね。
なので、貸方には負債(借金)と純資産(元手のお金)を示します。
より噛み砕いて説明すると、負債は将来お金が出ていくものです。
結果として、持っている資産(財産)から負債(借金など)を引くと手元に残るお金(将来使うことができる軍資金)が純資産として表現されます。
純資産は、資産から負債を引くと説明しました。つまり、以下の公式が成り立ちます。
純資産=資産 − 純資産
この公式を見てもわかるとおり、BSの借方と貸方の合計金額は必ず一致します(専門的には、「貸借一致の原則(たいしゃくいっちのげんそく)」といいます)。必ずです。100%一致します。もし一致していなければ、それは間違っています。
つまり、BSを見ると、
その人(もしくは会社)がどうやってお金を調達して、そのお金でどんな財産を購入しているのか?今ある借金をすべて返済したらいくらの余剰資金(軍資金)が残っているのか?が一目でわかります。
つまり、BSが読めると、会社の将来性を読むことができます。
また、個人的に財産を形成したければ、どうすれば良いかというと、純資産を増やせば良いのです。
お金持ちになりたければ純資産を増やしましょう。これは大富豪の与沢翼さんも自身の書籍で同意見を述べています。
最初に示した図は、手元にあった軍資金(財布のお金)と銀行からの借金で不動産(例えば家)を購入したことを示しています。
不動産は値動きが少ないものの、当然その価値は上下(変動)します。価値が変動するからこそ、不動産投資が成り立つのです。
購入した不動産の価値が上昇すれば、BSはどうなるでしょうか?図で見てみましょう。
この図で見ると、不動産の価値は、5,000万円から6,000万円に増えています。
その結果、軍資金が2,000万円から3,000万円に増えることになります。
なぜかといえば、今6,000万円の価値のある不動産を売却して、売ったお金で借金をすべて返済すれば手元に3,000万円が残る計算だからです(現実にはもう少し複雑ですが)。
逆に不動産の価値が下がっていた場合のBSはどうなるでしょうか。図で示すと以下のようになります。
5,000万円で買った不動産の価値が4,000万円に下がってしまうと、純資産がその分1,000万円減少してしまうことになります。
「住宅は資産ではない」というキャッチフレーズを聞いたことはありませんか?
この真意は、住宅という資産(財産)を手に入れても、その価値を超える借金をしているのであれば、純資産は増えない(=つまりお金持ちにはなれない)ことを示しています。
ただし、誤解を恐れずに言えば、住宅も含め不動産それ自体は資産であることに変わりはありません(物件を見誤れば資産価値がないこともありますが)。
(参考情報)
実際の企業のBSでは、固定資産(不動産)は買った金額で計上され、将来価値がないと判定される(減損損失といいます)までは、金額を動かしません。
つまり、お金持ちになりたければ、この「純資産」を最大化する必要があります。
今回の説明では、相当説明を簡素化していますので、実際の会計はもう少し複雑ですが、基本的な考え方は同じです。
何が応用されるかと言えば、資金調達の方法は借金以外にもたくさんあり、また様々な運用結果がBSに反映されます。
BSをきちんと分析できるようになれば、企業の将来性もよく見えてきます。
また企業の決算書だけでなく、あなた自身が自分の財産を最大化してお金持ちになりたいのであれば、あなた自身のBSを常にイメージしておく必要があります。
そして、あなた自身の純資産をいかに高めるか?を考えていく必要があるのです。
もっと詳しく知りたければ会計を学ぼう
会計の世界の入り口を少し紹介しました。いかがだったでしょうか?
今回説明した例は、日商簿記検定で言えば3級レベル(つまり初学者レベル)です。
会計の世界をもっと詳しく知ることで、様々な経営方法の選択肢を選ぶことができるようになります。
BSをしっかりと把握しておくことは、今の現実を客観的に把握することにもつながり、結果としてPDCAがうまく回せるようになるのです。
少しでも会計に興味を持たれた方は、簿記の勉強をはじめてみませんか?
会計・簿記の知識は体系的に理解すれば、必ず役に立つ知識です。
(簿記3級を取っても意味がない、という人もいますが、それは簿記や会計を学校のテスト勉強のように丸暗記しているだけだからです。会計は実践の学問です)
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