私たちはしたいことがあっても「したい!」と言うのが苦手です。
- 周りから嫌な目で見られないだろうか?
- 自分で手を上げておいて失敗したしたらどうしよう
- そもそもしたいかどうかもわからない
苦手な理由は様々です。
理由はどうであれ、「したい」と言えるかどうか?はチャンスを掴めるかどうかに大きく関わってきます。
周りの目を気にするかどうか
特に日本人に多いと言われるのが「空気を読む」ということ。
個人的には、空気を読むことは決して悪いことではないと思っています。
空気を読めることは、言い方を変えると「周りの想いを汲もうとしている」とも言えます。つまり、気遣い・おもてなしができる日本の美しい文化の1つでもあります。
職場や学校でも「空気を読め!」という発言を1度は聞いたことがあるでしょう。
空気を読むことは、周りの目を気にすることです。さらに、周りの気持ちになって考えることでもあります。
物事をスムーズに進めるには、空気を読むのは良い点もありますが、空気を読むことのデメリットもあります。
それは、空気を読みすぎると行動できない、ということです。
タラレバを考える
私たちは、昔から直接的・間接的な違いはあれど、「空気を読め」と言われて育ってきました。空気を読もうとすると、自分の言動による将来への影響を考えるようになります。
自分の発言を起因とする結果の変化を考えてしまうのです。
例えば、会議の中で発言できない新人が典型的な例です。
- 私がこんな発言をしたら無知だと思われるかも
- もうこの議論は過去に終わってるかもしれない
- 業界では常識なのかな
- あとで調べておこう…
- 話についていけないけど止めるのは申し訳ない
いわゆるタラレバを考えてしまうということが多々あります。私自身も経験しました。
この判断は、時と場合によって正解にもなり、不正解にもなりえます。だから難しいのです。
タラレバを考えた結果、正解になる(厳密には不正解にならなかった)ケースは、例えば外部の顧客との打ち合わせの場合です。
例えば、はじめて打ち合わせに入った新人が、当たり前に周知されている内容を発言することで、顧客に不信感を持たれる可能性があります。
これは顧客との関係性により変わりますが、あくまで先方はお金を払ってサービスを受けていると思っている場合があります。
この際に、不用意な発言によって顧客満足度が下がる可能性があります。(顧客に「ここは貴方の会社の教育現場ではありません」と言われるのがこのケースです)。
一方、発言しないことが不正解になるのは、どのようなケースでしょうか。この方がイメージしやすいでしょう。
発言をしないことは確かに良いことではありません。よく新人の頃に、こんなことを指導されました。
「社内の会議に出席して発言をしないというのは、あなたはこの時間仕事をしていないのと同じだ。つまり、何のバリューも与えていないことになる。」
これも正解でもあり、不正解でもあります。
詳しく説明すると、
正解だとする意味は、確かに会議に出席して発言をしないのであればその時間は違うことに時間を充たほうが生産的でしょう、という意図です。至極まっとうな意見です。
不正解でもあると言ったのは、これを言われた側が余計に萎縮して自由な発言が出来なくなる恐れがあり、結果的に職場の文化や環境に影響を与えてしまう点です。
より良い方法は、自由な発言を認めつつ、その責任は上司が取ることです。
さらに、発言をハナから否定せず、発言しやすい場を作る努力をすることです(それもトップダウンで環境づくりをすることが必須です)。
事なかれ主義は責任放棄?
多くの人は、これまで説明したような内容を頭の中でグルグルと巡らせた上で、結局、思ったことを十分に、あるいは、全く話せずにいます。
これは厳しい見方をすれば、失敗しないために事なかれ主義を貫いたとも言えます。
もしかすると、自分が思った些細な疑問が本質をついている可能性もあります。
その可能性をブラッシュアップするために、会社では複数人が集まって会議をしているとも言えるのです。「3人よれば文殊の知恵」を体現しようとしているのです。
事なかれ主義で話を聞き流してしまうのは、責任を全うしていないと思われかねないと頭の片隅には置いておきましょう。
やれば掴めるチャンスもある
誰しも「したい!」と積極的に言えなくても、心の中では少し興味があったりすることも多いです。
そんなときに、「とりあえずやってみる」ことはチャンスを掴むキッカケを得ることができます。
誰しもはじめは上手くいきませんが、上手くいかないからこそ、多くの人ができないこと(=強み)につながるのです。さらに、失敗から覚えたことはなかなか忘れませんので、早く成長できます。
特に若手の方であれば、積極的にチャレンジしてみましょう。
失敗して恥をかくこともありますが、今、恥をかくのと、10年後に恥をかくのとでは重みが違います。人は年齢を重ねるごとに恥をかきづらくなってくるのです。
それは、自分が変わっているというよりは、周りの目が変わってくるからです。
悲しいことに、周囲の人は無意識に「この年齢ならこのぐらいは出来るはず」というフィルターを通してあなたを見るようになります。
新人の頃に、「恥をかいても失敗してもいいから思ったことは何でも聞きなさい」と言われるのは、「今しか失敗できないから」という意味もあるのです。教えている側の上司も、その意味を経験でわかっているからこそ、言ってくれているのです。
したいことを「したい!」と言えることは勇気のいることです。
でも言えることはチャンスを掴むことにつながります。したいと言える環境を整えられている会社は非常に強いと思います。
なぜなら、チャンスを掴む可能性がたくさんあるからです。チャンスを掴む社員の多い会社とも言えるでしょう。
「風通しの良い組織」と表現する会社が多くなった昨今、本当に風通しは良いでしょうか?
今一度、自身の職場を見返してみては如何でしょうか。