相続が起きた際、相続人のうち1人がアメリカ在住など、外国に住まれている場合もあります。
そういった場合には、相続税申告書に添付する遺産分割協議書を作成する流れが通常とは少し異なります。
例えば、相続人がアメリカに住んでいた場合にどのような手続が必要なのか?
この点について解説したいと思います。
なお、遺産分割協議書については、この記事で解説しています。
【相続】遺産分割協議書とは?なぜ必要なのか?(専門税理士が解説) - CPA Meister
アメリカ在住でも日本に住所地がある場合の遺産分割協議書
なんらかの理由で、アメリカに住んでいるけど住所は日本のままになっているケース。
この場合であれば、特段、通常の手続と変更ありません。
通常どおり印鑑証明書を住所地の市役所にて取得して遺産分割協議書に添付します。
アメリカに住所地がある場合の遺産分割協議書
アメリカに住所を移している場合には、日本で住所や実印を証明する書類(住民票や印鑑証明書)を取得することができません。
この場合であっても、遺産分割協議書上では相続人全員の同意を証明することが必要になりますので、別途、手続きを踏むことになります。
通常であれば、相続人全員の署名・捺印(実印)によって同意したことのサインを遺産分割協議書に記入します。また、実印が本人のものであることを証明するために印鑑証明書を添付して相続税を申告することになります。
しかし、先ほど説明したように、アメリカに住んでいる(住所地がある)と印鑑証明書は日本では発行してもらえません。
その場合には、印鑑証明書に代わる書類をアメリカで発行してもらうことになります。
具体的には、アメリカ現地の領事館や大使館にて「サイン証明書」と言われるものを入手することになります。
サイン証明書は、現地の領事館や大使館に遺産分割協議書を持参して、その場でサインすることにより、サインが本人のものであることを証明する手続きを経て作成される書類です。
なお、日本国籍の方が外国に住まれている場合にはこのような手続きになりますが、国籍も外国籍の場合には、手続きがさらに変わってきます。
外国籍の場合には、サイン証明書も現地で取れませんので、現地の公証役場にて「宣誓供述書」といった印鑑証明書と同様の効果を持つ公的書類を取得することになります。
アメリカで取得する宣誓供述書は英語で書かれていますので、例えば日本の銀行など金融機関での手続に遺産分割協議書を利用する場合は、日本語への翻訳が求められます。
そのため、宣誓供述書を日本に持ち帰り、日本語に翻訳後に再度日本の公証役場にて認証してもらう必要がありますので、少し手間がかかります。
実際に手続きが必要な場合には、相続税に強い税理士や司法書士等の専門家に確認してから手続きをすることをオススメします。